ずいぶん前ですが、「力学の考え方」(砂川重信 著)という本を読みました。
そこで、大学の物理における問題を解くお作法・流れみたいのを解説しているページがあって、これは結構重要そうだったので、勉強のついでにこのブログでもまとめてみようと思います。
1.力学の問題を解く流れ
以下、力学の考え方の引用です。
力学の問題を解く手続き
(1)粒子に作用している力を調べる。
(2)その力のもとでの運動方程式を立てる。
(3)その微分方程式の一般解を求める。
(4)初期条件を用いて一般解に含まれる積分定数を決める。
簡単に運動方程式を用いて考えてみましょう。
まず、運動方程式(微分方程式)は以下のように表される。
$$m\frac{d^2x(t)}{dt^2}=F$$
これをtに関して二回積分すると、
$$x(t)=c_{1}+c_{2}t+(\frac{F}{2m})t^2・・・(1)$$
ここで、c1とc2はtに関する積分定数である。
このような任意定数を含んだ微分方程式の解を一般解と呼ぶ。これらの任意定数は初期条件によって決定される。
式(1)をtで微分すると、
$$v(t)=c_{2}+(\frac{F}{m})t・・・(2)$$
式(1)(2)でt=0とおけば、x(0)=c1,v(0)=c2となる。これが初期条件であり、一般解である式(1)に代入すると具体的な解が求められる。これを特殊解と呼ぶ。
それでは、次に実際に力学の基本的な問題で特殊解を求めてみることにする。
2.放物運動の特殊解
地上に質量mの小球があるとする。これを原点Oから初速度V₀、角度θで斜方投射する。このとき小球の運動する軌道を微分方程式を使って求めてみる。ただし、重力加速度をgとする。
まず小球にかかる力を考えてみる。これは小球には投げた後は重力しか働いていないとすぐ分かるだろう。
よって、時刻tにおける位置座標を(x(t),y(t))とすると、運動方程式は以下のようになる。
$$m\frac{d^2x(t)}{dt^2}=0$$
$$m\frac{d^2y(t)}{dt^2}=-mg$$
次に一般解を求める。ただ、ここでは既に前章の式(1)(2)と同様にして解けばいいから、
$$x(t)=x(0)+v_{x}(0)t$$
$$v_{x}(t)=v_{x}(0)$$
$$y(t)=y(0)+v_{y}(0)t-\frac{1}{2}gt^2$$
$$v_{y}(t)=v_{y}(0)-gt$$
それぞれ一般解が求まったので、初期条件を代入して特殊解を求める。
初期条件は、\(x(0)=y(0)=0, v_{x}(0)=v_{0}cos\theta, v_{y}(0)=v_{0}sin\theta\) である。これを用いると、
$$x(t)=v_{0}cos\theta・t$$
$$y(t)=v_{0}sin\theta・t-\frac{1}{2}gt^2$$
位置座標のみの特殊解を求めた。
したがって、これらの式からtを消去すると、運動の軌道を求めることができる。
$$y=-\frac{g}{2v_{0}^2cos^2\theta}x^2+tan\theta・x$$
3.まとめ
力学の問題を微分方程式で解く流れを今回は解説した。微分方程式の威力を力学の問題で確かめることもできた。
今後、大学物理の世界を進んでいく上で微分方程式は幾度となく登場すると思うので、その度に微分方程式の解き方などを復習しておくと良いかもしれない。
<参考文献>
砂川重信 著 「力学の考え方」、岩波書店、一九九三年
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