中国を地政学的に解明|なぜ海に進出するようになったのかを解説

政治学

この記事では、近年急速に力をつけてきた中国について地政学的に考え、なぜ海に進出するようになったのかを解説することを目的としています。

地政学の基本的な考え方や、歴史については前々回の記事で解説したので、地政学とは何かを知りたい方は以下の記事をご覧ください。

 

地政学の重要な考え方・地政学が成り立った歴史について簡単に解説
このブログに辿り着いたと読者諸賢ならば、「地政学」という言葉を聞いたことがあると思います。そして、地政学とは禁断の学問であるという何か怪しげな印象を持たれている方もいるかと思います。 そこで、本ブログでは地政学とは何かということを簡単に分か...

 

また、「なぜアメリカが世界覇権を握るまで国力を強めることができたのか」を地政学的に解説した記事を前回公開したので、これについて興味のある方は以下の記事をご覧ください。

 

アメリカが世界覇権を握るに至った経緯を地政学的にわかりやすく解説
この記事ではアメリカがなぜ世界覇権を握るような国になることができたのかを、地政学によって解明することを目的としています。 地政学の基本的な考え方や、歴史については前回の記事で解説したので、地政学とは何かを知りたい方は過去の記事をご覧ください...

 

1.伝統的な大陸国家の中国

中国は昔から大陸国家として大きな領土を持つ国である。

地政学的には、中国はリムランドとハートランドの境界線上に位置する。リムランドとハートランドについては前回の記事で解説したので、その記事を参照してほしい。(上に該当記事のリンクがある)

(上図 ハートランドとリムランド 筆者作成)

中国がハートランドとリムランドの中間に位置するという事は、紛争が多い地域であるという事を意味する。特に、中国はハートランドにいる騎馬民族に昔から苦しめられており、騎馬民族の侵入を防ぐために築かれた有名な万里の長城は、騎馬民族が中国にとっていかに脅威であったかを物語っているような気もする。

このように、中国は遊牧民族のようなハートランドから来る脅威への対応に手を焼いていたため、海洋での軍事面を増強しようという発想には至りづらかった。

そして、海軍の力が弱いまま近代の世界になり、ヨーロッパの列強諸国が植民地で領土を広げる時代に入り、海軍力が未熟な中国は、列強諸国に圧倒されることになる。そこから列強に領土を分断され、中国は散々な時代を送った。

そこから第二次世界大戦が終わり、時代を冷戦以降まで移すと、ソ連崩壊により国境付近には何も脅威が無くなるという始めての状況に中国は直面する。これは、もはや国境沿いの防衛に軍を集中させなくて良いことを意味する。

そして、この初めての状況下の中、中国はシーパワーをも得ようと、海軍の軍事力をあげようと現在動き出している。これが今の中国の海洋進出問題に繋がるのである。

 

2.海に進出するようになる中国

今や中国は大陸の国境沿いには脅威がいない状況となり、海洋進出に専念できるようになった。

中国は、シーパワーの国にもなるべく、第一列島線など中長期的な軍事戦略を練っている。しかし、歴史を見てみると、実は「元々ランドパワーの国が海洋進出しようとすると痛い目にあう」ことが分かるのだ。

(上図 第一列島線と第二次列島線 出典wikipedia)

歴史を遡ってみよう。例えば、第一次世界大戦では大陸国家のドイツのヴィルヘルム2世は海洋国家のイギリスに海戦に挑む為に、軍艦をたくさん作ったが、海上封鎖を受けイギリス海軍に負けてしまった。また、ドイツは第二次世界大戦でも海洋国家のアメリカ・イギリスに宣戦布告したが、結局負けてしまった。

さて、中国海軍が海洋進出をするとなると、それを嫌う大国としてアメリカが真っ先に挙げられる。中国が海洋進出を続けるといずれアメリカとの衝突は避けられなくなる恐れがあるからだ。

ここで疑問なのだが、中国はどこまで本気でアメリカと海軍の軍事力で張り合おうと思っているのだろうか。アメリカは海洋国家として世界最強なのは周知の事実だが、今まで一度も海軍による海洋進出をしようと思わなかった中国がアメリカを破って、上図にあるような第二次列島線までの海を中国が支配できるとは考えづらい。また、一度も中国海軍は海戦で勝った事が無いという事実もある。それにアメリカには多数の同盟国があり、現に最近ではアメリカとの同盟国の海軍が日本の港に寄港しだしている。

それに、中国とアメリカにおける経済的な依存もあるだろうし、中国もアメリカも軍事的な衝突は望んでいないはず。海の平和を脅かすような無謀な海洋進出はやめた方が良いのでは無いかと思う。

※補足

中国の海洋進出は日本を脅かす重大な問題である。また、現在ハートランドには中国の安全を脅かすような国が存在しないので、中国の海軍力がどうであれ、海洋進出はこれからも続けてくるかもしれない。

そのため、日本としてはアメリカや韓国との軍事的な連携を強化しつつ、十分に中国の動きを監視し続ける必要がある。

 

3.まとめ

今回は「なぜ今になって中国は海に進出するようになったのか?」という問いに答えられるような記事を作成した。

これまでの地政学に関する記事を通して、読者諸賢は地理的状況がいかに国家の存亡を左右するか。という事を実感していただければ、記事の目的は達成されたと言えるだろう。

 

4.引用文献

ピーター・ゼイハン/木村高子 訳「地政学で読む世界覇権2030」東洋経済新聞社、二〇一六年

茂木誠「学校では教えてくれない地政学の授業」PHPエディターズ・グループ、二〇一六年

かゆみ歴史編集部 編著「教養として知っておきたい地政学」ナツメ社、二〇一八年

兵頭二十八【「地政学」は殺傷力のある武器である。】徳間書店、二〇二〇年

wikipedia,「第一列島線」(参照 2021/9/14)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AC%AC%E4%B8%80%E5%88%97%E5%B3%B6%E7%B7%9A

 

____________________________________________________________________

シンプル爽快なアクションパズルゲーム。己の限界に挑戦できます!

面白いので遊んでみてください!!!!

動く漢字間違い探し 新感覚-爽快ゲーム

動く漢字間違い探し 新感覚-爽快ゲーム
無料
posted withアプリーチ
また、アプリ開発日記を書いているので興味ある方はぜひ見てください
それとYoutubeでもゲームの紹介動画を作ってます
政治学
Senehataをフォローする
Senehataの学習帳ライブラリ

コメント

タイトルとURLをコピーしました