民主主義の歴史について新自由主義と絡めて解説-民主主義シリーズ第1回

政治学

現代にあって、民主主義というものは、もはや当たり前に与えられるものであるかのように思われるし、今頃民主主義を語ること自体無意味なものに思えてくるかもしれない。

しかし、最近、政治は既得権益と結びついてるかのように感じられ政治への白け(しらけ)のようなものも社会に広まっている気もする。(長年にわたる投票率の低下などが挙げられる)

そこで、今こそもう一度民主主義について再考した方が良いと思い、この政治への白けを「民主主義」というキーワードを手掛かりに解明していくことを目標としてみる。

それで、自分は民主主義に関する幾ばくかの書籍を読んでみたのだが、そこで現代への民主主義の性質へ深く影響しているものとして、「新自由主義」というものが挙げられることが分かった。(そこでは新自由主義が民主主義に与える負の影響が多く指摘されている。)

そのため、

・今日の政治がどのように新自由主義というものと結びついていったかの歴史的な経緯について(記事第1回)
・その新自由主義が民主主義に与える影響について(記事第2回)
・最後にどうすれば民主主義を再生することができるのか(記事第3回)。      

というところまで考える。

今回は記事第1回なので、今日の政治がどのように新自由主義というものと結びついていったかの歴史的な経緯について解説する。

1.君主主権から人民主権へ

古代ギリシアやローマでは制限付きではあったが、民主主義的なルールが存在していた。しかし、中世に入ったとたんに絶対王政が支配的なものになり、民主主義の立場がかなり弱くなってしまった。その中世の長い時間を経て近代の時代に突入すると、啓蒙思想が広がり民主主義を生き返らせることとなる。

例えば、近代の時代に生きたルソーは一般意思という国民の「ただ共通の利益だけを考慮された」概念だけに従うことで、個人の欲望に沿った「特殊意思」を批判し、直接民主主義の考えを提示した。

2.冷戦終結が民主主義にもたらしたもの

時代を進め、現代に入るのだが、冷戦時代では西側で「自由民主主義」と東側で「人民民主主義」が争っていたが、ソ連の崩壊とともに人民民主主義は消え去った。

そこから、東欧において、非暴力的で言語によるコミュニケーションを重視するフォーラム型の民主主義が生まれた。この東欧における民主主義の新たな誕生は、冷戦で疲弊していた西欧の民主主義の活性化にも繋がった。

しかし、東欧での成功も束の間、市場の拙速な導入により、社会が不安定化し、それへの反応として右翼運動がおこるようになってしまった。

そのため、ニューレフトと言われる新しい左翼の運動もあったが、結果、支持されていくのは新保守主義と言われる新しいタイプのものだった。

3.新保守主義と新自由主義の結びつき

新保守主義は、新自由主義という考え方を採用した。新自由主義とはある種の市場原理主義で、特に政府が極力、市民や企業の経済活動に関与しないようにすることを特徴とする。よって、新自由主義は「小さな政府」を目指す。

ところで、新保守主義が、新自由主義とが結びつくことに古くから矛盾が指摘されているようだ。

新保守主義は、安定性が失われた社会への批判のときに、家族や宗教、コミュニティなど伝統的なものを持ち出し、文化保守主義的な思想を特徴とする。しかし、新自由主義では、規制を撤廃し、民営化を促進することが目指される。

また、新自由主義は、市場競争が大切な考え方となるので、市民一人ひとりを「資本」とみなし、とにかく個人がその資本を増築させることを促進させる。となると、企業と企業同士が結託して競争を回避することは新自由主義の理念とは合わない。これは、人と人同士が協力して、競争を回避することも新自由主義の理念に合わないことを意味する。

つまり、人と人とがコミュニティを形成すること自体が新自由主義の原理に反することとなる。言い換えれば、新保守主義の理念と新自由主義の理念が真向に食い違うことが分かる。

しかし、新保守主義と新自由主義を同時に主張する政党は、現実には失敗要因とはならずに、逆に多様な層から支持を得るメリットと化した。そして、今も新自由主義を標榜する政党が支配的だ。

4.まとめ

今回は、政治がどのようにして新自由主義と繋がるかを解説した。そして、新保守主義と新自由主義は矛盾しているが、そのどちらも政策として掲げている政党が支持されているという現実も分かったかと思う。

次回は、この新自由主義が民主主義に対してどのような影響を与えていくのかを解説したいきたいと思う。

新自由主義が民主主義にもたらす影響をわかりやすく解説-民主主義シリーズ第2回
この記事は民主主義シリーズ第2回のものです。前回のURLは以下のものを参照してください。 前回は、どのようにして政治が新自由主義と結びついたかを解説しました。 まだ、前回の記事を読まれていない方は、前回の記事を読まれることを推奨します。 今...

5.引用文献

森政稔「変貌する民主主義」ちくま書店、二〇〇八年

宇野重規「民主主義のつくり方」筑摩選書、二〇一三年

wikipedia,「民主主義」(参照 2021/08/08)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B0%91%E4%B8%BB%E4%B8%BB%E7%BE%A9      

 

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