今回は皇位継承問題について、わかりやすく簡単に解説することを目的とした記事です。
1.そもそもなぜ皇位継承問題が発生するのか
そもそもなぜ皇位継承問題が発生するのかについて触れる。憲法第二条では皇位は世襲のものであるとされている。つまり、子孫が途絶えてしまう事は世襲が途切れてしまう事を意味するので、皇位を継承していくことは案外綱渡り状態のようなものである。
では、とても長い歴史を持つ皇位継承はどのようにして今まで実現できたのだろうか。江戸時代以前までは側室制度や、養子、女性天皇が認められており、皇位継承はかなり柔軟に行われていた。だが現在では、養子、女性天皇は廃止されており、側室制度も現代の価値観にとってはかなり異質なものとなっている。(皇室典範第九条:天皇・皇族は,養子をすることができない。 皇室典範第一条:皇位は、皇統に属する男系の男子が、これを継承する。)
なので、江戸時代以前のような柔軟性が現行の皇室典範には全く無いのである。それゆえ、皇位継承問題といったものが浮き上がってくる。
ここからはいくつかの皇位継承問題への対応策を挙げる。とても大雑把に分けるならば、男系尊重派と女性・女系容認派に分けられるので、それぞれの意見に焦点を当ててみたいと思う。
2.男系天皇を尊重すべき
男系尊重派は、皇統が男系で今まで一貫してきたことが皇室の権威の源であり、また伝統であるとする。(現に、女性天皇は歴史上存在したものの、男系天皇を途切れなく続けてきた。)
そして、どのように男系を維持すれば良いかと言うと、旧皇族の復帰や、養子制度の復活をあげている。
3.女性・女系天皇を容認すべき
次に女性天皇・女系天皇容認派だが、女系天皇とは母型が天皇家の血を引いている天皇の事だ。
そして、注意すべきことは、あくまで女性・女系容認派も男系継承を追求し、仮に男系での継承が難しくなった場合に備えて、女性・女系天皇も容認すべきといった立場ということである。あくまで、安定的な皇位継承に関する意見ということで、男女平等の文脈とはまた違う話であるという事。
女性・女系天皇容認派は、男系尊重派が主張する旧皇族の復帰や養子の解禁は、天皇の国民に対する求心力の低下につながる可能性があると懸念している。
また、女性天皇には賛成だが、女系天皇には反対する主張もある。ただこれは、一時的な問題は解決できるが結局女性天皇の次の代は、父型の天皇家の血を引く必要があるため、根本的に安定した皇位継承を実現できるものではないだろう。
4.まとめ
皇位継承問題にあたって、男系論者と女系論者の主張についてそれぞれまとめてみた。
そして、この問題を考えるにあたって大事な事は、憲法第一条にある通り、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」で、国民主権の上に初めて天皇が成り立つという事である。
だから、皇位継承問題を考えるにあたっては、皇位継承に対する国民の民意と言う視点が一番大事なのである。(象徴天皇制)
〇引用文献
笠原英彦「象徴天皇制と皇位継承」ちくま新書、二〇〇八年
島田裕巳「天皇と憲法 皇室典範をどう変えるか」朝日新書、二〇一六年
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