前回から引き続き国富論の要約を行う。
国富論の要約 vol.4 労働の賃金について
前回から引き続き国富論の要約を行う。 賃金の増大と国富の増大 労働の賃金は労働者と雇い主の間で結ばれる契約によって決まるが、両者の利害は一致しない。労働者はできれば高い賃金を望むし、雇い主はできれば低い賃金を望む。こうした構造上、両者で対立...
業種による労働の賃金の違い
この章については国富論の引用をするに留めておこうと思う。
観察によって確認できる限り、以下にあげる五つの要因によって、ある業種での収入の少なさが補われ、別の業種での収入の多さが相殺されている。第一に業種自体が快適か不快かである。第二は、その職業の仕事を習得するのが難しいのか容易なのか。第三は、その業種で仕事がいつもあるのか、それとも不安定なのかである。第四は、その業種で仕事をしている人に寄せる信頼が大きいのか小さいのかである。第五は、その業種で成功を収められる可能性が高いのか低いのかである。
資財の分類
何年にもわたって生活を維持できる量の資財を蓄えていれば、その資財を使って収入を得ようとするのが当然である。
この時、資財は二つの部分に分けられる。第一にそれを使って収入を得ようとする部分で、資本と呼ばれる。第二に直接の生活の消費に充てるものである。
この資本を使う方法にも二つある。
第一は、財貨(もの)を生産するか、加工するか、購入し、それを売って利益を獲得する方法である。この財貨は持っているだけでは利益を生まない。売ることによって初めて利益を生むことができる。こうした資本を流動資本と名づける。
第二は、土地の改良、士業に役立つ機器や道具の購入など、所有者が変わらないままその後の回転、流動がないまま収入と利益を得られるものに使う方法である。こうした資本を固定資本と名づける。
また、個々人が持つ能力も固定資本である。労働者の技能や技術の向上は生産性の向上に繋がるため、固定資本と同じ性質を持つ。
参考文献
アダム・スミス/山岡洋一 訳「国富論ー上」、日本経済新聞出版社、2007年
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