国富論の要約 vol.4 労働の賃金について

前回から引き続き国富論の要約を行う。

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賃金の増大と国富の増大

労働の賃金は労働者と雇い主の間で結ばれる契約によって決まるが、両者の利害は一致しない。労働者はできれば高い賃金を望むし、雇い主はできれば低い賃金を望む。こうした構造上、両者で対立が発生することがある。

アダムスミスが生きた時代においては両者の対立が生じた場合、労働者が極めて不利な状況におかれたそうだ。なぜなら、法律で労働者の団結がそもそも禁止されているからだ。さらにこれは現代でもそうだが労働者よりも雇い主の方が一般的に財力があるため、事業が止まった場合先に財力が尽きるのは基本的に労働者だ。

従って労働者は現在の賃金に不安があったとしても簡単には賃金を上げられない。しかし、状況によっては大幅に賃金を増やすことができる。

 

それは、労働者に対する需要が増え続けるとき、すなわち雇用者数が前年より増えているときだ。なぜなら人手不足になるので雇い主は労働者を確保するために競い合うようになり賃金を引き上げようとするからである。

労働者に対する需要は経営の事業拡大によって増える。また事業拡大は手元の資金が増大することによってできる。従って、労働者の賃金が増える原因は事業者の資本の増大なので労働者の需要、賃金は国富の増大とともに増えるものである。

また、労働賃金の上昇をもたらすのは、国富の大きさではなく、国富の増加が続くことである。

 

 

国富の増大と住民の増大

ある国の繁栄ぶりをもっとも端的に示すのは、住民数の増加である。

アダムスミスの生きた時代は、アメリカの成長が凄まじかったようだ。アメリカでは人口が20年から25年で二倍になっており、長生きした人なら自分の子孫が50~100人に上ることも少なかったようだ(!)

(ちなみに国富論が刊行されたのが1776年で、アメリカのイギリスからの独立宣言も1776年だ。まさにアメリカにとって激動の時代だ。)

 

労働の報酬が良ければ、庶民の子供達の生活が良くなり生き残る子供が多くなるので、人口の限界が自然に広がる。また、労働者の結婚と元気に育つ子供の数が増え、人口が増大して、増え続ける労働需要を満たすのに必要な水準になるはずである。

 

ところで現代の日本では子供が栄養失調で死亡する確率について、例えば乳児死亡率をwikiで調べてみると0.19%とのことなので直接人口減少の原因として挙げられることはまず無い。どちらかと言うと、賃金が一向に大きくならないが故に生活状況が向上せず子供を養う経済的な余裕が無いために人口が減少し続けている状況だ。

 

皮肉にも、日本は経済が停滞しているがゆえに人口が減少している例として先進国の中では第一に挙げられるのではないだろうか。だが、人口は経済成長率に応じて変動するものであるので人口を増やすために政策を立てるというよりも、そもそもの経済を成長させ、賃金(実質賃金)を増やすために例えば今103万の壁が見直しされているように減税政策の推進が急がれる。そうすれば養育費の余裕が生まれるため自ずと人口減は回避し、また増大へと進み、我が国の国富増へと直結するだろう。

 

参考文献

アダム・スミス/山岡洋一 訳「国富論ー上」、日本経済新聞出版社、2007年

乳児死亡率 - Wikipedia

 

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